[現車について]
今回ご紹介します車両は、KAWASAKI MachIII 500ss です。
エンジン 空冷2サイクル3気筒(ピストンリードバルブ)
変速機 リターン式・5段変速
始動方式 キックスターター式
タイヤサイズ F:3.25-19 R:4.00-18
タンク容量 15L
「世界一速いバイクを作る」そんな思いを込められて作られたのがカワサキ 500SS マッハIII
60年代アメリカのバイク市場に名を残すにはこれしかないと意気込み、開発されたのが
『空冷2ストローク並列3気筒500ccエンジン』でした。
開発陣の涙ぐましい努力と信念で、マッハIIIは最高速度200km/h、
ゼロヨンの記録においても加速12.4秒をマークし名実ともに晴れて『世界最速』の称号を得る事となりました。
白煙とともに走り去りさまざまな伝説だけを残してゆく、“カワサキ"の名を世に知らしめた乗り手を選ぶ最強最速モンスター。
もちろん当時のアメリカのバイク市場でも、マッハIIIの記録に度肝を抜かれて
「ジャパンオートバイメーカーKAWASAKI」を世界に知らしめたのです。まさにマッハの名に恥じない功績です。
60年代はとにかく日本のバイクシーンが盛んで、1961年には世界初の量産4ストローク4気筒マシンとしてホンダのCB750FOURが、世界グランプリの王者の座に輝くなど世界的にも日本のオートバイの存在感を知らしめる時代でした。
その後1969年の北米、60年代最後の年を飾ったのがマッハIII。世界最高速を打ち出した事から更に日本のバイクメーカーは注目を浴び、続く70年代も名車の登場や開発に枚挙にいとまなかった、まさに『日本バイクメーカー黎明期』とも言える時代の名機です。
[現社について]
国内仕様としては初期型となる69年式500SS「H1」
世界最高速度を実現すべく、性能第一主義のもと妥協のない開発が進められたモデルです。
70年H1までの、タンクの両サイドにはエグリプレスが入っています。
現車は「H1KA」で、大変希少なモデルです。
[カスタム内容]
ウオタニ SP2パワーコイル
[機関]
元気よくキック一発でエンジン始動
空冷2サイクル3気筒の迫力あるサウンドです。
アイドリングもすぐに安定して、調子の良さが伺えます。
2サイクルらしい白煙を巻き上げいかにもジャジャ馬な感じがたまりません。
[外観]
オリジナル同様にリペイントされた外装とフレームは大変綺麗でサビや大きな傷などはありません。
車体全体も同様で腐食などもありませんでした。
50年以上経つ車体ですのでそういう雰囲気が出ていて大変好ましいです。
[総評]
「曲がらない 止まらない まっすぐ走らない」
”マッハ” の名を更に世の中に知らしめたのが この『マッハIIIの三重苦』
現代では決してハイパワーとは言えない60PSですがリッタ−換算120PSでピストンバルブが故のピーキーな特性。
初期型はドラムブレーキ、時代なりの脆弱なフレームや足回りの構造
以上を考えると決してライダーには優しくない、「じゃじゃ馬」であったことは容易に想像できます。
ですが、ライダーという生き物はそういう ”ヤバい奴” にどうしても惹かれてしまうものです。
当時から人気を博したマッハシリーズは、現代スーパーチャージャー付きの”H1”として『世界最速』の称号は引き継がれました。
現車は、マッハ3の中でもさらに希少なH1KAでえぐりタンクの初期モデルです。
オーバホールされたばかりのエンジンは快調ですし、車体のコンディションも申し分なく綺麗です。
不安材料の点火系もウオタニに換装され『マッハVの三重苦』を堪能したい方には堪らない一台だと言えるでしょう。
近年、この辺の車両は価格高騰の一途でもはや資産と言っても差し支えない状況ですが、
それ故に、間違いない個体であれば
「乗って 眺めて 損しない」の「マッハIIIの三重喜」かもしれないですね。
車輌は北海道当別町にあります。
個人の為消費税はかかりません